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2011年04月13日

災害による損失を受けた場合の所得控除及び減税について part.1

今回も震災に関連した税務上の話題を取り上げたいと思います。
災害時における税金の優遇措置は、普段使われる事がない為にあまりお目にかかりませんが、実に多岐に亘って条文化されております。

その内、災害により一部もしくは全てが壊れた資産がある場合の所得税における税務上の取り扱いを説明していきます。

〜雑損控除〜
1. 災害又は盗難若しくは横領によって、資産(T)について損害を受けた場合等には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを雑損控除といいます。
(所得税法第72条)
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1110.htm


(T)資産とは  雑損控除の対象となる資産は、生活に通常必要な資産に限られます。

  生活に通常必要な資産とは 下記以外の生活に通常必要な資産
  @ 棚卸資産
  A 不動産・事業・山林所得に使用される固定資産や繰延資産
  B 山林
  C 趣味・娯楽・保養・鑑賞を目的とする資産
  D 生活用動産の内、1個又は1組の価額が30万円を超える貴金属、書画、骨董等

2. 雑損控除の控除額(計算式)

 (1) 損害金額 + 災害関連支出の金額 − 保険金等の補填金額 = 差引損失額

 (2) 次の二つの内、大きい方の金額

   @ 差引損失額 − (総所得金額等 × 10%)
   A 差引損失額のうち災害関連支出の金額 − 5万円

 損害金額、災害関連支出の金額とは・・・(所得税法施行令第206条)

  損害金額 住宅や家財などについて受けた損失額(損失を受けた時の直前の時価によって計算する)。
       被災直前の被災資産の時価 − 被災直後の被災資産の時価

  災害関連支出の金額
  1. 災害により損壊した住宅、家財等の取壊し費用、除去費用等
  2. 災害等のあった日から1年以内に支払った土砂等の除去費用、原状回復費用(上記損害金額を除く)、損壊防止費用等
  3. 災害の拡大又は発生を防止するための緊急措置を講ずるために支出した金額
  4. 盗難又は横領による損失が生じた住宅、家財などの原状回復費用(損失額を除く)など

  ※ 雑損控除の金額が所得金額を超える場合はその超える部分の金額を、翌年以後3年間繰り越す事が認められています。(所得税法第71条)

 確定申告の際には災害関連支出の領収書等の添付が必要となります。(e-taxによる電子申告の場合は添付を省略できますが、3年間保管しておく必要があります。)


これとは別の『災害減免法による所得税の軽減免除』、『サラリーマン、公的年金受給者が災害を受けたときの源泉所得税の徴収猶予及び還付』という税額控除の制度がありますが、こちらはまた次回以降の説明とさせていただきます。

関連情報
H23.4.21 寄付金控除、雑損控除、災害減免法による所得税の軽減免除について 追加

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